日本で一番、社会に開かれた福祉事業体をつくりたい。

― 人は、人と出会うことで動き出す


私は以前から、ASTAGEカレッジを、

「日本で一番、社会に開かれた福祉事業体にしたい」

と思っています。

少し大げさに聞こえるかもしれません。

でも、これはかなり本気です。

ASTAGEには、毎週必ずゲストスピーカーが来ます。

経営者、会社員、専門職、地域で活動している方。

仕事の話だけではありません。

うまくいったこと。

失敗したこと。

遠回りしたこと。

悩んだこと。

その人が実際に歩んできた人生そのものを、話してくださることがあります。

そして、おおよそ2か月に一度は、企業やお店を訪問します。

実際の職場を見る。

働いている人に会う。

その人の仕事への向き合い方を知る。

なぜ、ここまで社会との接点をつくるのか。

理由はシンプルです。

社会で生きていく力は、社会との関わりの中で育っていく。

私は、そう思っているからです。

福祉の中だけで、社会に出る準備をしない

安心して過ごせる場所は必要です。

でも、

安心できることと、社会から閉じていることは違う。

と思っています。

これから社会の中で生きていくなら、いろいろな人に会った方がいい。

働きたいなら、実際に働いている人を見た方がいい。

自分の人生を考えるなら、いろいろな人生を歩んできた人の話を聞いた方がいい。

福祉の中だけで過ごし、福祉の中だけで人と関わり、

「さあ、社会に出る準備をしましょう」

では、どこか限界があると思うのです。

だからASTAGEは、

社会へ出ていく。

そして同時に、

社会の人にも、ASTAGEへ入ってきてもらう。

この両方を大切にしています。

毎週、違う人生がASTAGEに入ってくる

ゲストスピーカーの時間も、私は単なる「講演会」だとは思っていません。

ゲストが話して、利用者さんが聞いて終わり。

ではありません。

ASTAGEのゲスト回には、外部からビジターとして参加してくださる方もいます。

私は、これがまた面白いと思っています。

ゲストが話す。

利用者さんが感じたことを話す。

ビジターの方が感想を伝える。

それを聞いた利用者さんが、また何かを感じる。

利用者さんの言葉に、今度はゲストやビジターの方が気づかされる。

誰かの言葉が、別の誰かの言葉を引き出していく。

ときには、本当に「化学反応」という言葉がぴったりだと思う瞬間があります。

それまで、一度も口にしたことがなかった想いを、利用者さんが突然話し始めることがあります。

本人も、その日に話そうと思っていたわけではないのかもしれません。

でも、

誰かの人生の話を聞いた。

失敗した話を聞いた。

ビジターの何気ない一言が、自分の経験と重なった。

そして、

「実は、自分も……」

と、それまで胸の中にあったものが、初めて言葉になる。

私は、そんな瞬間を何度も見てきました。

ゲスト、ビジター、利用者さん、スタッフ。同じ場にいる人たちの言葉が重なり合うことで、思いがけない気づきが生まれることがあります。

「教える人」と「教わる人」を決めない

福祉の場というと、

支援する人と、支援される人。

教える人と、教わる人。

そんなふうに役割が分かれて見えることがあります。

でも、ASTAGEで起きていることは、もっと自由です。

ゲストから利用者さんが学ぶ。

利用者さんの一言に、ゲストが気づかされる。

ビジターが何かを持ち帰る。

スタッフも、その場で初めて利用者さんの想いを知る。

誰か一人が、ずっと先生なのではありません。

共に学び合い、共に教え合う。

それが、ASTAGEでつくりたい場です。

ASTAGEの企業訪問は、少し違う

企業見学という取り組み自体は、珍しいものではありません。

会社へ行く。

説明を聞く。

職場を見せてもらう。

もちろん、それだけでも貴重な経験です。

でもASTAGEの企業訪問は、私はもう一歩先に行きたいと思っています。

ASTAGEを開設する以前から、私たちは就労支援に携わり、企業側の障がい者雇用支援にも関わってきました。

その経験やノウハウが、今の企業LIVE学習会にも生きています。

利用者さんに何を見てもらうのか。

何を感じてもらうのか。

その会社やお店が何を大切にしているのか。

そこで働く人は、どんな思いで仕事をしているのか。

そして、もう一つ。

受け入れてくださる企業やお店にとっても、どんな時間になればいいのか。

そこまで考えます。

ASTAGEだけが、

「勉強させていただきました。ありがとうございました」

で終わる関係にはしたくありません。

ありがたいことに、これまでの訪問では毎回、受け入れてくださった企業やお店の方からも、

「こちらも学びになりました」

「来てもらってよかったです」

といった言葉をいただいてきました。

利用者さんから出る率直な質問。

素直な感想。

普段とは違う人たちに自分たちの仕事について話すことで、企業やお店の側にも、改めて気づくことがあるのだと思います。

利用者さんにとって学びになる。

企業やお店にとっても気づきになる。

そして、福祉と社会の距離が少し近くなる。

私は、こういう**「三方よし」**の関係が好きです。

どちらか一方が、

「してあげる」

「してもらう」

ではなく、

お互いにとって意味のある出会いをつくる。

それが、ASTAGEの企業LIVE学習会です。

利用者さんだけが学ばせてもらうのではない。企業やお店にとっても何かが残る。そんな「三方よし」の出会いを目指しています。

知らなかった世界に、どんどん触れてほしい

そして、社会との接点は、ゲストスピーカーや企業訪問だけではありません。

ASTAGEでは、プログラムそのものも幅広くしたいと考えています。

ものづくりをする。

植物を育てたり、触れたりする。

料理をする。

武道を体験する。

文化に触れる。

自分だけでは、なかなか出会わなかった世界に入ってみる。

なぜ、そんなにいろいろなことをするのか。

それは、

経験してみなければ分からないことが、たくさんあるからです。

「興味がありません」

「自分には向いていないと思います」

そう思っていたことでも、実際にやってみると、

「意外と面白い」

となることがあります。

そこで出会った人に惹かれることもある。

逆に、

「これは自分には合わないな」

と分かることだって、大切な自己理解です。

ASTAGEで、一つの能力だけを伸ばしたいわけではありません。

いろいろな人に会う。
いろいろな世界を見る。
いろいろな経験をする。

その中で、

「こんなことが好きだったんだ」

「こんな人になりたい」

「これはちょっと苦手だな」

「もう一度やってみたい」

と、自分自身のことも知っていく。

社会には、本当にいろいろな人がいて、いろいろな仕事があって、いろいろな生き方があります。

だからこそ、ASTAGEの中にも、できるだけいろいろな世界を持ち込みたいと思っています。

ものづくり、植物、料理、武道など、これまで知らなかった世界にも触れてみる。経験の数だけ、自分を知るきっかけも増えていきます。

「開かれている」とは、人の出入りが多いことではない

私が言う「社会に開かれた福祉」とは、

外部講師が多い。

外出が多い。

イベントがたくさんある。

単に、そういうことではありません。

私がつくりたいのは、

福祉と社会の境目が、できるだけ薄い場所です。

利用者さんに社会を知ってもらう。

社会の人にも、利用者さんを知ってもらう。

企業から学ぶ。

企業にも何かを持ち帰ってもらう。

ゲストから学ぶ。

利用者さんの言葉から、ゲストにも気づいてもらう。

一方通行ではない。

そこが大切です。

福祉の中に社会が入ってきて、

福祉から社会へ出ていく。

その行き来が、ごく自然にある。

そんな場所をつくりたいと思っています。

人は、人と出会うことで動く

知らなかった世界を知る。

自分とは違う考えに触れる。

「あんな人になりたい」と思う。

「自分もやってみたい」と思う。

誰かの言葉に、自分の過去が重なる。

そして、ときには、自分でも気づいていなかった想いが言葉になる。

人は、人と出会うことで動く。

私は、そう思っています。

だからこれからも、ASTAGEをもっともっと社会に開いていきたい。

社会に学ぶ。
社会の中で学ぶ。
社会の一員として学ぶ。

安心できる場所でありながら、社会としっかりつながっている。

利用者さんも。

スタッフも。

ゲストも。

ビジターも。

企業も。

地域の人も。

互いに学び合い、互いに気づき合える。

そんなASTAGEをつくっていきたい。

そして私は、本気で、

日本で一番、社会に開かれた福祉事業体をつくりたい。

そう思っています。

そして今日よりほんの少し、

「明日をちょっとご機嫌に。」

そんな出会いを、これからもたくさんつくっていきたいと思います。

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