「頑張っているのに、なぜかうまくいかない。」

――「もっと頑張れ」の前に、知ってほしいこと。

「自分なりに頑張っているつもりなんです。でも、なぜかうまくいかない」

ASTAGEに来る方の中にも、そんな思いを抱えている人が少なくありません。

学校へ行こうとした。
働こうとした。
人とうまく付き合おうとした。
生活を変えようとした。

決して、何もしてこなかったわけではありません。

むしろ、本人なりには何度も頑張ってきた。

それでも続かない。
なぜかうまくいかない。
同じようなところでつまずいてしまう。

そんな経験が積み重なっていくと、

「どうせやってもダメ」
「自分にはできない」
「また失敗するんじゃないか」

という気持ちが、少しずつ強くなっていきます。

そして周囲から、

「もっと頑張らないと」
「いつまでそうしているの?」
「みんな頑張っているんだから」

と言われる。

でも私は、そんな人に必要なのは、単純に**「もっと頑張ること」だけではない**と思っています。

何を頑張ればいいのか、分からない

ASTAGEに来る方の半分近くは、程度の違いはあっても、「頑張っているのにうまくいかない」という経験をしているように感じます。

本人は本人なりに頑張っている。

ところが話をしていくと、

自分は何が得意なのか。
何が苦手なのか。
どんな環境なら力を発揮できるのか。
どんなときにストレスを感じるのか。
どういう考え方をしやすいのか。

そうした自分自身のことを、意外と知らないことがあります。

だから、

「頑張らなければいけない」

とは思っているけれど、

「何を、どう頑張ればいいのか」が分からない。

これでは、頑張っている本人もしんどいと思います。

一生懸命走っている。

でも、自分がどこへ向かって走っているのか分からない。

それでは疲れてしまいます。

「啐啄同時」という言葉があります

私は、人が成長していくときに大切なことの一つに、**「啐啄同時(そったくどうじ)」**があると思っています。

卵の中にいる雛が、外へ出ようとして内側から殻をつつく。

そのタイミングに合わせて、親鳥が外側から殻をつつく。

内側と外側。

その二つが合わさって、雛は殻を破って外へ出てくる。

人の成長も、これに似ているのではないでしょうか。

周囲がいくら、

「頑張れ」
「働きなさい」
「もっとしっかりしなさい」

と言っても、本人の中にまだ「やってみよう」という気持ちが育っていなければ、なかなか動けないことがあります。

反対に、

本人が「変わりたい」「やってみたい」と思い始めているのに、周囲がその小さな変化に気づかなければ、せっかくの芽を摘んでしまうこともある。

だから、支援する側にもタイミングが必要です。

本人が今、どんな状態なのか。

何につまずいているのか。

何ならできそうなのか。

何を怖がっているのか。

そこをよく見ないまま「頑張れ」と言っても、うまくいかないことがあると思うのです。

「もっと頑張れ」と言う前に

もちろん、親御さんや周囲の方が、

「もっと頑張ってほしい」
「自分の力で生きていけるようになってほしい」

と思う気持ちは、よく分かります。

心配だからこそ、言ってしまう言葉でもあると思います。

でも、少し考えてみてほしいのです。

私たちは、その人のことをどれくらい理解しているでしょうか。

そしてこれまで、その人自身が、

自分で考える。
自分で選ぶ。
自分で決める。
やってみる。
失敗する。
もう一度考える。

そんな経験をする機会を、どれくらいつくってきたでしょうか。

周囲が先回りして決めてきたのに、ある年齢になった途端、

「もう大人なんだから、自分で決めなさい」

と言われても、簡単にはできません。

選ぶことにも、練習が必要です。

失敗することにも、経験が必要です。

そして何より、

「自分で決めてやってみたら、できた」

という小さな達成感が必要なのだと思います。

小さな「できた」が、人を変えていく

ASTAGEで過ごしていると、そんな小さな変化をたくさん目にします。

最初は「言われたからやる」だった人が、自分から動くようになる。

失敗するとすぐに「もういい」と諦めていた人が、もう一度やってみる。

一人で抱え込んでいた人が、

「ちょっと手伝ってもらえますか」

と言えるようになる。

苦手なことばかりに目を向けていた人が、

「これなら自分にもできるかもしれない」

と思えるものを見つける。

「どうせ自分なんて」と思っていた人が、小さな成功を積み重ねることで、少しずつ自信を持つ。

周囲や環境のせいにしていた人が、

「自分にも変えられるところがあるかもしれない」

と、自分自身に目を向けるようになる。

一つひとつは、とても小さな変化かもしれません。

でも私は、こういう変化こそ大切だと思っています。

就職した。

資格を取った。

何か大きなことを成し遂げた。

もちろん、それも素晴らしいことです。

でも、その前に、

昨日までできなかったことが、今日は少しできた。

昨日まで言えなかった一言が、今日は言えた。

昨日まで避けていたことに、今日は少し向き合えた。

その積み重ねが、やがてその人の生き方そのものを変えていくのではないでしょうか。

「助けて」と言えることも、生きる力

そしてもう一つ、ASTAGEで大切にしていることがあります。

それは、人に頼ることです。

「人に迷惑をかけてはいけない」

「自分のことは自分でしなければいけない」

そう思って、何でも一人で抱え込んでしまう人がいます。

でも、

「ここまでは自分でできる」
「ここからは難しい」
「だから、ここを手伝ってほしい」

と言えるということは、決して弱さではありません。

むしろ、自分のことが分かってきた証拠だと思います。

そして不思議なことに、

人に助けてもらえるようになった人は、少しずつ誰かを助けるようにもなっていきます。

自分が困ったときに助けてもらったから、

今度は誰かが困っているときに、

「大丈夫?」

と声をかけられる。

「助けてもらう人」だった人が、
「誰かを助けることもできる人」になっていく。

私は、そこにも大きな成長を感じます。

人は、一人ですべてをできるようになる必要なんてない。

人に助けてもらいながら、自分も誰かを助ける。

それが、人と人との間で生きるということなのだと思います。

いまがどうであれ、いまにこだわらなくていい

今、一生懸命頑張っているのに結果が出なくて、

「自分はダメなんだ」

と思っている人がいるなら、私は伝えたいことがあります。

いまがどうであれ、いまにこだわらなくていい。

うまくいかないのであれば、うまくいかない理由が必ずあると思います。

だから、

「自分はダメだから」

で終わらせないでほしい。

やり方が合っていないのかもしれない。

環境が合っていないのかもしれない。

考え方に少し癖があるのかもしれない。

まだ、自分自身のことをよく知らないだけかもしれない。

だったら、一つずつ知っていけばいい。

そして、ときには自分の考え方を変えてみることも必要です。

誰かからアドバイスをもらったとき、

「でも……」
「だって……」
「自分には無理だから……」

と、これまでの自分の考えだけで答えを出してしまわない。

深く考えすぎずに、

「一回、素直にやってみようか」

とやってみる。

私は、そういうことができる人ほど、少しずつ道が拓けていくように感じています。

もちろん、やってみて違ったら、また考えればいい。

それも自分を知る一つの経験です。

「もっと頑張る」だけが、答えではない

頑張ることは大切です。

でも、

「もっと頑張る」ことだけが答えではありません。

自分を知ること。

人の話を聞いてみること。

誰かの力を借りること。

やり方を変えてみること。

知らない世界に触れてみること。

そして、小さな「できた」を一つずつ増やしていくこと。

それも全部、私は立派な「頑張る」だと思っています。

今までのやり方でうまくいかなかったからといって、

これからもうまくいかないとは限りません。

いまがどうであれ、人生はこれから変えていける。

ASTAGEは、その人が自分自身を知り、

自分なりの頑張り方を見つけ、

人と助け合いながら、

もう一度、自分の人生を歩き始める。

そんな場所でありたいと思っています。

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