― 自己評価と他者評価の間で、自分を知っていく
「自分には、まだ働く自信がありません」
そう話す人がいる一方で、
「自分は働けます」
「この仕事ならできると思います」
と、自信を持って話す人もいます。
ところが実際に就職活動を始めると、ハローワークへ行ってもなかなか面接まで進まなかったり、面接を受けても採用に至らなかったりすることがあります。
そんな場面を見ていると、改めて思うことがあります。
「自信があること」と、「自己理解ができていること」は同じではない。
自分から見えている自分が、すべてではない
たとえば、
「コミュニケーションは問題ありません」
と本人は思っている。
でも、周りから見ると、人の話を最後まで聞くことが苦手だったり、自分の考えを一方的に話してしまったりすることがあります。
「仕事はできます」
と思っていても、
分からないときに質問できるか。
注意や指摘を受けたときに、どう受け止めるか。
時間を意識できるか。
予定や指示が変わったときに、どう対応するか。
働くということには、作業そのもの以外にも、いろいろな力が必要です。
反対もあります。
本人は、
「自分には何もできない」
と思っている。
でも、周りから見ると、
決めた時間に来られる。
人の話を丁寧に聞ける。
頼まれたことを真面目に続けられる。
困っている人に自然に声をかけられる。
本人が気づいていない良さが、周りには見えていることもあります。
他者評価は、自分を否定するためではない
ASTAGEでは、本人が自分をどう思っているのかを大切にします。
でも、それだけで自分を決めてしまわないことも大切にしています。
スタッフから見た自分。
仲間から見た自分。
ゲストやビジターと関わったときの自分。
企業の方と接したときの自分。
実際に何かをやってみたときの自分。
いろいろな角度から自分を見る機会があります。
もちろん、
他者評価が、そのまま正解というわけではありません。
見る人が変われば、評価も変わります。
でも、自分一人では見えなかった自分を知る、大切な材料にはなります。
「自分ではできていると思っていたけれど、そう見えていたんだ」
「自分では苦手だと思っていたけれど、そこを良いと言ってくれる人もいるんだ」
そんな気づきを重ねながら、
自分から見える自分と、人から見える自分を擦り合わせていく。
それが自己理解なのだと思います。

不採用を「自分は働けない」で終わらせない
就職活動がうまくいかなければ、当然落ち込みます。
何度か不採用が続けば、
「やっぱり自分は働けないのかな」
と思うこともあるでしょう。
でも、不採用になったからといって、その人に働く力がないと決まったわけではありません。
一方で、
「企業が自分の良さを分かってくれなかった」
だけで終わらせてしまうのも、もったいないと思っています。
なぜ、面接まで進まなかったのか。
なぜ、採用には至らなかったのか。
自分が希望している仕事と、自分のできることは合っているだろうか。
企業が求めていることと、自分が伝えていることにズレはないだろうか。
自分の得意なことだけではなく、苦手なことも理解できているだろうか。
そして、それを相手に説明できているだろうか。
うまくいかなかった結果も、自分を知る材料にする。
それが、次の一歩につながります。
社会の中で見てもらうことも大切
ASTAGEでは、施設の中だけで自己理解を深めるわけではありません。
企業やお店を訪問する。
働いている人の話を聞く。
実際の仕事を経験する。
外部の人たちと関わる。
社会の中へ出ると、自分では気づかなかった部分が見えてくることがあります。
福祉の中では特に問題にならなかったことが、仕事の場では課題になることもある。
逆に、自分では大したことではないと思っていた部分が、企業の方から評価されることもあります。
だからこそ、
社会の中で実際に見てもらう。
そして、その言葉を受け取る。
それも大切な経験です。

本当に必要なのは、「自分を知ること」
私は、就職を急ぐよりも、その前に自分のことを知る時間が必要な人もいると思っています。
何ができるのか。
何が苦手なのか。
どんな場面で困りやすいのか。
どんなときに力を出しやすいのか。
どんな働き方が自分には合いそうなのか。
そして、
自分のことを、周りの人はどう見ているのか。
自己評価が高すぎても、低すぎても、自分に合った選択は難しくなります。
だから、
「自分はこう思う」
だけで終わらせず、
「周りからは、どう見えているんだろう」
にも耳を傾けてみる。
そして、どちらか一方を正解にするのではなく、その間にあるズレも含めて、
「これが、今の自分なんだ」
と少しずつ理解していく。
それが、社会的な自立と自律にもつながっていくのだと思います。
就職することだけがゴールではありません。
自分を知り、自分に合う場所を考え、必要なことを相手に伝えながら、働き続けていく。
そのためにも、
他者の目を借りながら、自分を知る。
そんな時間を、ASTAGEでは大切にしていきたいと思っています。
そして今日よりほんの少し、
「明日をちょっとご機嫌に。」
自分のことを、もう少し知っていく。
そんな一歩も、大切にしていきたいと思います。

