― だから、今の自分を言葉にして残しておく
「あのとき、どうしてあんなにこだわっていたんだろう」
「どうして、あの人の言葉を聞けなかったんだろう」
自分の人生を振り返ると、そんなことがあります。
そのときは、そのときなりに一生懸命だった。
自分なりの考えがあり、自分なりの正しさもあった。
だから、周りがどれだけ心配してくれていても、その言葉が入ってこない。
むしろ、
「分かってもらえない」
「自分の方が正しい」
そんな思いの方が強くなっていたこともあります。
でも、時間が経ってから振り返ると、
「あの人は、自分のことを心配してくれていたんだ」
と、初めて分かることがあります。
渦中にいると、見えないことがある
なぜ、あのとき分からなかったのか。
心に余裕がなかったのかもしれません。
自分の考えにとらわれていたのかもしれない。
何かに強くこだわり、執着していたのかもしれません。
自分の思い通りにしたいという我欲が、知らないうちに自分を支配していたこともあったと思います。
渦中にいる本人には、それがなかなか見えません。
そして、痛い思いをしたあとになって初めて、
人のありがたさ。
自分を支えてくれていた人の存在。
心配してくれていた言葉の意味。
そんなものに気づくことがあります。
私自身も、振り返ればそうでした。
だから、ときどき思います。
人は、本当に人生が大きくマイナスに振り切らなければ、人のありがたさに気づけないのだろうか。
できるなら、その前に気づけた方がいい。
感謝できなかった自分を責めるのではなく、少しずつでも、人から受けている恩に気づける自分でありたいと思います。
今すぐ分からなくてもいい
ASTAGEで利用者さんと関わっていると、伝えたいことがたくさんあります。
でも、こちらが大切だと思っていることが、その瞬間に伝わるとは限りません。
今は聞きたくない。
今は受け入れられない。
今は意味が分からない。
そんなこともあります。
だから私は、
今すぐ全部分かってもらわなくてもいい
と思っています。
半年後かもしれない。
一年後かもしれない。
卒業して、社会の中で新しい経験をしてからかもしれない。
ある日突然、
「あのとき言われていたのは、こういうことだったのか」
と分かることがあります。
人生は、あとになって分かることだらけです。
だから、アウトプットしてほしい
そのためにも、ASTAGEではアウトプットを大切にしています。
話す。
書く。
誰かに聞いてもらう。
振り返る。
今日、自分は何を感じたのか。
何に腹が立ったのか。
何が嫌だったのか。
何を正しいと思っていたのか。
そして、どんな行動をしたのか。
そのときの自分を、言葉にして残しておく。
これは、正しい答えを出すためだけではありません。
未来の自分が、今の自分を振り返るためです。

点と点が、あとから線になる
人は、少しずつ変わっています。
でも、毎日の変化は小さいので、自分自身ではなかなか気づきません。
だから、以前の自分の言葉が残っていることには意味があります。
「あの頃は、こんなふうに考えていたんだ」
「同じ出来事でも、今なら違う受け取り方をするな」
「あの人が言っていたことが、今なら少し分かる」
そんな瞬間があります。
昔の出来事。
誰かからもらった言葉。
その後に経験したこと。
そして、今の自分。
バラバラだったものが、ある日つながる。
点と点が、一本の線になる。
私は、成長というのは、こういうところにも表れるのだと思っています。

あとになって分かってもらえたら、それでいいこともある
支援をしていると、
「今、分かってほしい」
と思ってしまうことがあります。
でも、それはこちら側の都合なのかもしれません。
今は届かない言葉もある。
今は受け取れない思いもある。
それでも、伝えておく。
そして、その人が経験を重ねたあとに、
「あのとき言っていたのは、こういうことだったのか」
と思ってもらえたら、それでいいこともたくさんあります。
できれば、大きく傷ついてからではなく。
人生が大きくマイナスに振り切ってからではなく。
自分のこだわりや執着に気づき、
周りの言葉に少し耳を傾け、
自分が多くの人に支えられていることを感じられるようになってほしい。
そして何より、
心も身体も健やかに、自分の人生を歩んでほしい。
そのためにも、
今の感情を言葉にする。
今の考えを残しておく。
ときどき振り返る。
そして、自分の変化を自分自身で確かめていく。
ASTAGEでは、そんな時間をこれからも大切にしていきたいと思っています。
そして今日よりほんの少し、
「明日をちょっとご機嫌に。」
今はまだ分からないことも含めて、未来の自分につながる一日を積み重ねていけたらと思います。

