ASTAGEに来たばかりの頃、自分からほとんど話さない人がいます。
みんなから少し離れたところに座る。
話しかけたい気持ちはあるけれど、どう声をかけたらいいか分からない。
自分の意見や感想を求められると、何も言えなくなる。
最初は一日利用することが難しく、午前だけ、午後だけという人もいます。
でも、ASTAGEでは、
「もっとみんなと話しましょう」
とは基本的に言いません。
コミュニケーションが苦手な人もいれば、自分の気持ちを言葉にすること自体が難しい人もいるからです。
まずは、同じ場所で一緒に過ごす。
そこからでいいと思っています。
少しずつ、お互いのことが分かってくる
ASTAGEのプログラムでは、テキストに自分の考えを書き、それを発表する機会がよくあります。
もちろん、発表したくなければしなくてもいい。
でも、周りの人の話を何度も聞いていると、
「この人は、こんなことが好きなんだ」
「こんな経験をしてきたんだ」
と、少しずつその人のことが分かってきます。
誰かが今まで人に言えなかったつらい経験を話すこともあります。
ゲストスピーカーの話を聞いて、心が動くこともあります。
そんな姿を見ているうちに、
「自分もちょっと話してみようかな」
と思える瞬間がやってきます。

「同じ釜の飯を食う仲間」になる
そこから外出したり、一緒に料理をしたり、イベントを楽しんだり。
ときには初めて会う経営者やゲストと話したり。
そして、仲間の卒業式を一緒に迎えることもあります。
いろいろな時間を一緒に経験するうちに、いつの間にか普通に話している。
冗談を言ったり、誰かを心配したり、応援したりするようになる。
私は、**「同じ釜の飯を食う仲間」**という言葉が好きです。
一緒に何かを経験したからこそ生まれる関係があります。

コミュニケーションは、上手に話すことだけではありません。
人の話を聞く。
同じ場所にいる。
一緒に何かを経験する。
少しずつ相手を知り、自分のことも知ってもらう。
それも立派なコミュニケーションです。
ASTAGEで学んでほしいのは、プログラムだけではありません。
ここで出会った人たちと過ごす時間そのものも、大切な学びです。
だから、最初は「何を話せばいいか分からない」でも大丈夫。
まずはここに来て、同じ時間を過ごすところから。
その先に、いつの間にか「仲間」と呼べる人ができているかもしれません。

