実は、あまり知られていないかもしれません。
ASTAGEは、面談が多いです。
利用が始まってからだけではありません。体験利用の期間でも、必要に応じて面談の時間をつくります。
ただ、「面談」と聞くと、
「最初から過去のことをいろいろ聞かれるのかな」
「自分のことを全部話さないといけないのかな」
「何を聞かれるんだろう」
と、身構える人もいるかもしれません。
でも、ASTAGEの面談は、最初から何でもかんでも聞き出すための時間ではありません。
その人が話せるところから、少しずつ始まります。
日々の中で生まれる「モジャモジャ」
ASTAGEで過ごしていると、いろいろなことがあります。
プログラムで誰かの話を聞いて、心が動く。
人との関わりの中で、腹が立ったり、落ち込んだりする。
自分の過去を思い出すこともあれば、
「自分もこんなふうになりたい」
と、何かが動き出すこともあります。
もちろん、その場でもスタッフと話します。
でも、そのときに少し話すことと、きちんと時間を取って、じっくり話すことはやっぱり違います。
なぜ、スタッフ2名で面談するのか
ASTAGEの面談は、基本的に利用者さん一人に対して、スタッフ2名で行います。
一人の見方だけでその人を決めつけず、いろいろな角度から一緒に考えたいからです。
もう一つ、2名だからこそできることがあります。
たとえば、人とのやり取りでモジャモジャしたとき。
「相手にこう言われて腹が立った」
「自分は普通に言っただけなのに、なぜか関係が悪くなった」
話を聞くだけでは、なかなか整理できないこともあります。
そんなときは、一人のスタッフが本人の役、もう一人が相手の役になって、実際のやり取りを再現してみることがあります。
立場を入れ替えてみることもあります。
すると、
「自分では普通に言ったつもりだったけど、こう聞こえるのか」
「相手から見ると、そう感じることもあるのかもしれない」
と、話しているだけでは見えなかったものが見えてくることがあります。
どちらが正しい、悪いと決めるためではありません。
自分から見えている景色だけではなく、相手から見えている景色にも触れてみる。
それも、面談でできる大切な学びです。
話しているうちに、自分が見えてくる
「何があったん?」
「そのとき、どう思った?」
「なんで、そんなに腹が立ったんやろう?」
「本当は、どうしたかったんやろう?」
すぐに答えが出るとは限りません。
最初は「分かりません」だったものが、話しているうちに、
「あ、もしかしたら自分は……」
と変わる瞬間があります。
誰かから正解を教えてもらったわけではありません。
頭の中にあったモジャモジャが、話すことで少しずつ言葉になり、整理されていく。
そして、
「じゃあ、次はこうしてみようかな」
と、小さな光が見えてくることがあります。
そんな経験を重ねると、最初は緊張していた面談が、
「次は何を話そうかな」
という時間に変わっていくこともあります。
面談は、まだ自分でも知らなかった**「新しい自分」に出会うきっかけ**にもなるのかもしれません。
面談を重ねるから、見えてくることがある
面談は、一度話して終わりではありません。
定期的に話す時間を持っていると、本人もスタッフも、その人の変化に気づくことがあります。
「前は、こんなことでずっと悩んでいたよね」
「最近は、自分から相談できるようになったね」
「前だったら腹を立てて終わっていたけど、今回は自分のことも考えられたね」
毎日一緒にいるからこそ、かえって気づきにくい変化もあります。
定期的に立ち止まって話すことで、少し前の自分と、今の自分を見比べることができる。
本人自身が、
「そういえば、前とはちょっと違うかも」
と気づくこともあります。
面談は、モジャモジャを整理するだけではなく、自分の変化や成長を確かめる時間でもあると思っています。

本人を真ん中に、みんなで考える
私は、ASTAGEを一つの**「家族」**のように考えています。
私自身は、父親のような役割でしょうか。
何でも優しく受け止めるだけではない。
ときには厳しいことも言う。
背中を押すこともある。
そして、少し離れたところから見守ることもある。
日々そばにいるスタッフは、あるときは母のように話を聞き、あるときは姉や兄のように一緒に考える。
もちろん、本当の家族の代わりになるという意味ではありません。
一人の人を、一人の視点だけで見るのではなく、いろいろな人が、いろいろな角度から見ている。
そんな場所でありたいと思っています。
また必要に応じて、親御さんや相談支援事業所の方、関係機関の担当者の方に面談へ同席していただくこともあります。
本人とASTAGEだけで抱えるのではなく、その人を支えている人たちとも状況や思いを共有し、これからのことを一緒に考える。
ただ、誰かが本人の代わりに人生を決めるためではありません。
真ん中にいるのは、あくまで本人です。
その人が自分を知り、自分で考え、自分なりの一歩を選んでいくために、必要な人たちが一緒に考える。
それも、ASTAGEの面談です。

卒業しても、「ちょっと、話そうか。」
そして、ASTAGEの面談は、卒業したら終わりではありません。
就職した人。
別の事業所へ進んだ人。
新しい生活を始めた人。
環境が変われば、また新しいモジャモジャが生まれます。
「仕事はこんな感じです」
「ちょっと人間関係で困っていて」
「こんなことができるようになりました」
そんな近況を聞きながら、卒業後も定期的に面談をしています。
私はいつも、卒業はゴールではないと思っています。
家族だって、家を出たから家族ではなくなるわけではありません。
ASTAGEも、それに少し似ているのかもしれません。
面談は、答えをもらう時間じゃない
人は、一人で考えていると、同じところをグルグル回ることがあります。
誰かに話す。
聞いてもらう。
言葉にしてみる。
違う角度から問いかけてもらう。
そして、少し前の自分とも比べてみる。
すると、さっきまで見えなかったものが、少し見えてくることがあります。
面談は、問題が起きた人が呼ばれる場所ではありません。
評価されるための時間でもありません。
自分の中にあるものを、一緒に整理していく時間。
自分の変化や成長に気づく時間。
そして、ときには、
まだ自分も知らなかった「新しい自分」に出会う時間。
だからASTAGEでは、面談をとても大切にしています。
「ちょっと、話そうか。」
その時間から、また何かが動き出すかもしれません。
そして今日よりほんの少し、
「明日をちょっとご機嫌に。」
そんな毎日を、一緒につくっていけたらと思っています。

