― 「先手の挨拶」から始めてみる
「おはようございます」
毎日のように使う、ごく普通の言葉です。
でも、少し想像してみてください。
無表情で、ぼそっと言われる「おはようございます」と、
相手の顔を見て、明るい声で伝えられる「おはようございます」。
同じ言葉なのに、受け取る印象はずいぶん違います。
先日、大阪・北新地でミュージックバーを営む大月チエさんのお話を聞きながら、改めて考えたことがあります。
それは、
人とのコミュニケーションは、言葉の内容だけで決まるものではない
ということです。
挨拶は、相手を見てからするものではない
私は、「先手の挨拶」を大切にしたいと思っています。
相手が先に言ってくれたから返す。
相手が笑顔だから、自分も笑顔になる。
ではなく、
まず、自分から「おはようございます」と伝える。
相手がどんな表情をしているか。
返事をしてくれるか。
笑顔を返してくれるか。
そこは、相手のことです。
返事がなくてもいい。
少しそっけなくてもいい。
自分が、
「この人に気持ちよく挨拶をしよう」
と決めて、自分からする。
相手の反応によって、自分の行動まで決めてもらう必要はないのだと思います。

相手が変わるのを待つだけでなく
例えば、コンビニで買い物をしたとき。
店員さんに、
「ありがとうございます」
と、こちらから明るく伝えてみる。
相手も笑顔になってくれるかもしれません。
何も変わらないかもしれません。
それでもいいのだと思います。
人間関係がうまくいかないとき、私たちはつい、
「あの人が苦手」
「あの人がこう言ったから」
「あの人さえ変わってくれたら」
と、相手に意識が向きがちです。
もちろん、相手との距離を取った方がいい場合もあります。
でも、相手が変わることだけを待つのではなく、
「自分からできることは何だろう?」
と考えてみる。
それだけでも、見える景色が少し変わることがあります。
自分に向ける言葉も、自分で選べる
もう一つ印象に残ったのが、朝、鏡に映った自分に言葉をかけるというお話です。
「今日もいい感じ」
「今日はこれをやってみよう」
最初は、少し照れくさいかもしれません。
でも私たちは、誰かから言われた言葉だけではなく、自分自身が日々使っている言葉からも影響を受けています。
「どうせ無理」
「また失敗するかもしれない」
そんな言葉ばかりを自分に向けていたら、行動する前から気持ちは重くなります。
だからといって、無理に前向きになる必要もありません。
「今日はちょっとしんどい。でも、ここまではやってみよう」
それも、自分を大切にする言葉だと思います。

小さな選択が、自分をつくっていく
ASTAGEでは、人との関わりに難しさを感じたり、自分に自信を持てなかったりする人とも日々一緒に学んでいます。
そこで大切にしたいのは、誰かが用意した「正解」を覚えることだけではありません。
自分はどう感じたのか。
自分はどうしたいのか。
そのために、自分から何ができるのか。
少しずつ、自分で考え、選べるようになることです。
笑顔で挨拶できない日があってもいい。
言葉がうまく出てこない日があってもいい。
大切なのは、できなかった自分を責めることではなく、
「次は、どうしてみようか」
と考えてみること。
自分から「おはようございます」と言ってみる。
声のトーンを少し変えてみる。
「ありがとう」を一言添えてみる。
自分にも、少し優しい言葉をかけてみる。
一つひとつは、とても小さなことです。
でも、そんな小さな行動の積み重ねが、人との関係だけでなく、自分自身との関係も少しずつ変えていくのかもしれません。
相手を変えることは難しくても、自分の次の一言は、自分で選べる。
そして、その一言を相手より先に、自分から届けてみる。
そんなところから、人との関わりは少し変わり始めるのではないかと思います。
そして今日よりほんの少し、
「明日をちょっとご機嫌に。」
まずは明日の「おはようございます」を、自分から。
そんな小さな一歩から始めてみてもいいのかもしれません。

